俺の息子にスリーパーホールド

雑記をベースにたまに息子とのやりとりを書いていきます。色んなもののレビューも興味あり。

中学生との友情

ここだけの秘密ですが。
巷で噂のヒーローって俺のことなんですよ。
困ってる人を見つけてサクッと助けちゃおうかと思ってですね。

今日はあんまり外に出たなかったんですよ、気分的に。
いや、この前生活保護が取り消しになったことも1つの理由なんですが。
雷注意報がでてたの知ってますよね。
昔からあの音が苦手なんですよ。
地震雷火事親父っていうけど、俺の中では雷がぶっちぎりなんですよ。
でも、俺ってヒーローじゃないですか。
意外に責任感も強くてですね。
少なくとも1人は救うかって気持ちになつたんですよ。
んで、外に出ると男子中学生3人組の軍団がいてですね。
1人が鞄を持たされてるんです。
これってまさかイジメでは。
と思って、一旦素通りしたんですよ。
いやっ、そのまま注意して刺されたらやだなと思って。
ヒーローにも力の限界があるんですよ。
んで、忘れ物をしたふりをしながら彼らのおおよその身長、体重、みのこなし、武器を観察したんですね。
こりゃ、勝てるなと思ってですね。
一旦家に帰ったんですよ。
いやっ、普通に財布を忘れてたのを途中で気付いたんですよ。
ついでにトイレにも寄って、さぁ行くぞ。
って、外に出て叫んだんですよ。

お前ら、何してんだ。

ちょうど、次の鞄持ちを決めるためのジャンケン中でした。

えっ、ジャンケンっすけど。

って素で返されてですね。
ムムムと思ったんですが、そこは百戦錬磨の俺。

おいっ、待て、逃げるな。

と、遥か向こうを見ながら走ったんですよ。
何もない幻影を追いかけて。
奴らの横を通り過ぎる瞬間、キッと睨みつけてやりました。
これで多分引き分けだと思うんですよ。
えっ、ボロ負けだって?
おほんっ、では聞こう。
お前ならその場合どうしたんだ?
あっ、すいません。
次の人を呼ばないで下さい。
まだ座っていたいんです。
とりあえずエピソードの続きを聞いて下さいよ。
俺って早とちりなところあるんです。
分かって頂けましたかね。
では、第2章に移ります。
そのまま走っていくとどこかの公園に着いてですね。
一休み一休みと思ってベンチに腰掛けたんですよ。
そしたら、運悪くまた同じ中学生達がきまして。
しょうがねぇから、蜃気楼と戦ってましたよ。

あの人ヤバくない?

って声がしたんですがなりふり構っていられませんでした。
途中で止めるなんてとんでもない。
静寂に耐えられる状況じゃなかったんですよ。
そのままヤバい奴を演じてですね。
自分がヒーローであることを言外に匂わせたんですよ。
奴ら頭悪くてですね。
なかなかこちらの意図が通じなくて。もうしょうがないから言ったんですよ。

あの、俺ヒーローなんで邪魔しないでもらえますか。

そしたらですね。
奴らは最初怪訝そうな顔をしてたんですけど、こっちに向かってきたんですよ。
蜃気楼と戦ってる最中に。

おじさん、ヒーローなら助けてよ。

と、まさかのオファーがきまして。
何となく最後の必殺技っぽい動きとセリフで戦いを終了してから奴らと話しました。
どこにでもいる普通の中学生でしたね。
助けて欲しい内容がこれまた中学生っぽくてですね。
あっ、いつもの水もらっていいですか。
ゴクゴク。
いやぁ、いつ飲んでも水道水。
たまにはミネラルウォーターとか出さないんですかね。
冗談ですよ、冗談。
んで、奴らの悩みっていうのがニキビなんですよ。
俺、言ってやったんですよ。

ニキビは健康の証拠。
栄養が行き渡ると顔に出てくるんだよ。
そして、栄養が足りなくなったらまたひっこむんだよ。
そして、体に戻った栄養が改めて吸収される時に爆発的なエネルギーをもたらす。
それが身長の伸びる原因なんだ。

つってね。
奴らさ、なんかザワザワしだして。
自分たちのニキビを見せつけながら、将来どの位身長が伸びるか聞いてくるんですよ。
適当に、タテ×ヨコ×オクの約2.8倍とか伝えたらもう騒ぐ騒ぐ。
数は関係ないの?とかどうやって測るの?とか。
もうしょうがねぇから身体測定してやったんですよ。
何が悲しくて、この歳で男子中学生の身体を触らなきゃいかんのかと。
まぁ、周りから見たら変態ですよね。
でも、今回はその変態も結構真剣に測定してですね。
この道のプロになろうかな、なんて思ったんですよ。
いやいや、だから俺の職業はヒーローですって。
書き換えないで下さいよ。
んで、最終的には仲良くなってTwitterアカウントとか教えてもらってですね。
若い奴と仲良くなるのも悪くねぇなと思ってたんですよ。
そこまでは良かったんです。
帰り道に奴らのアカウントを見たんですね。

変なおっさんと公園で遊んでやった。
キモ過ぎてワロタ。
こんな顔してんの。
みんな拡散して。

とかつぶやいてんの。
結局ずっと奴らのターンだったんですよ。
あっ、ティッシュありがとうございます。
もう、なんだかあなたと友達のような感覚がしてですね。
えっ、友達と違うんですか。
いやいや友達と言ってくれるまでは帰りませんよ。
あっ、チェンジとか言わないで下さいよ。
いやいや、そんなこと言わないですから。
生活保護費のことは諦めたんで。
いや、ほんとどっか行かないで。
やめて、つぶやかないで。