私、エンゼルス大谷。
ちょっとデカイけどナイスバディな小学4年生。
ぱっと見で男に間違われるのがイヤなの。
私みたいに可愛らしい少女はどこ探してもいないのに。
もう食べちゃいたいくらいっ、ていうかさっき軽く髪の毛食ったし。
ふぅ、今日も楽しく学校に行くぞ。
ルンルン気分で登校してると何やら正門あたりで人だかりが出来てる。
何かあったのかなと走っていくと、みんな貼り出された紙を見ていた。
運動場でのボール遊び禁止って書いてある。
えっ?
それじゃあ、私の大好きなまる君の勇姿が見れない。
あの誰もが恋する左のマシューズフェイントが。
私は一目散に走った。
ただあてもなく。
どちらかというと駄菓子屋寄りに。
だって、お腹すいたんだもん。
とりあえず、アメとムチを買って。
美味しい〜。
登校中の買い食いはやっぱやめられませんな。
と、思いながら貼り紙の対処法を考えた。
まずは何故ボール遊びが禁止になったのか原因を調べなきゃ。
事情通の先生に聞いてみよう。
誰から落とすか。
担任は不必要に勘ぐる癖があるからダメだし。
かといって保健室の先生は何かやらかして謹慎中だし。
教頭、校長あたりは口が固いし。
突破口が見えない。
そんな時、まる君が目の前を通った。
あのさぁ、あの貼り紙知ってる?
見たけど何なのあれ、大谷知ってる?
うーん、分かんない。
今、調査中とか一応伏せておいた。
教室に入り、1人静かにお茶を飲む。
椅子の上で深呼吸してから座禅を組む。
目を閉じると色々な情報が耳に飛び込んでくる。
いつも以上にお菓子の情報が入ってくるのは気のせいか。
集中していない証拠。
改めて目を閉じる。
そうして、授業中はほぼ瞑想状態だった。
分かった。
全て分かった。
貼り紙を外そう。
無かったことにしよう。
私は放課後すぐに実行した。
誰にも気付かれていないはず。
これで思いっきりボール遊びが出来る。
まる君が来た。
驚いた表情でこちらを見てる。
うん、うん。
とうなづいた。
いつものように校庭開放でまる君がサッカーを始めた。
やっぱマシューズキレキレ。
私も入れて、と強引に一緒になった。
幸せだわ。
まる君は英語の勉強があるらしく途中で帰っちゃったの。
しょうがないので得意の野球の練習をした。
壁にガンガンぶつけてると先生が来て怒られてしまった。
何となく謝ったが、後ろを振り向いた瞬間、100マイルを背中にぶち込んだ。
いやぁ、爽快爽快。
あどけない少女を演じててもやる時はやる。
いてっ、とか言ってる先生を尻目に足早に去った。
次の日、校門にまた貼り出されてた。
ボール遊び禁止。
100マイル禁止。
””さて。
長くなりましたが授業はそろそろ終わりです。
今日は有名な大谷選手の小学校時代の話をしました。
いつもと趣向が違って良かったでしょ。
引き出しの多い先生と呼ばれたいですからね。
みんなも野球を頑張ってやればいつか大谷選手みたいになれるかも知れないです。
君たちは希望の塊なんです。
質問はないですか?
あぁ、よく気付きましたね。
隠しているようですが大谷選手は女です。
私は10年前に食らった背中の衝撃を忘れることが出来ません。””