俺の息子にスリーパーホールド

雑記をベースにたまに息子とのやりとりを書いていきます。色んなもののレビューも興味あり。

アプリゲーム開発メーカーへの転職

今日から生まれ変わる。
もうこんな日常からはおさらばしたい。
何をやっても上手くいかなかった日々。
思い出すだけでも泣けてくる。
神様はきっといる。
今日の戦いの場はアプリゲーム開発メーカーだ。
落ち着いて履歴書と職務経歴書を見直す。
大丈夫だ、面接対策も十分にシュミレーションした。
よし、行こう。
なんて感じで目的地に向かったわけですよ。
正面玄関前に行くと大きな噴水があってですね。
改めて見るとでっかいビルだなと感心しましたわ。
はたして俺は転職出来るのかと少しビビリが入ってですね。
近くにいた掃除のおばさんをグッと睨みつけたんですよ。
俺は負けない。
そう呟きながら半歩踏み出したらウンチを踏んづけたんですよ。
それが結構出来たてホヤホヤで、なんか微かに臭いも広がっていてですね。
こりゃあ、どこかで靴を買い替えなきゃと急いでGoogle Mapで検索したんですよ。
最高の靴屋って。
俺は今日、最高のパフォーマンスを披露するために来たんだからそこは譲れないわけで。
そしたら、最高の靴屋っていう名前の靴屋が見つかったんですよ。
お前も最高のパフォーマンス出したいんかいとちょっと思ってですね。
行ってみたら閉店で。
あぁ、オチも最高だね、なんて思ったわけですよ。
臭い男だけどそのまま面接に挑みました。
中途採用なので私1人だけだと思ってたのですが、待合室には私の他にもう1人。
ライバルなのか否か。
一応敵になりうる奴のスペックは把握しておこう。
30代前半、眼鏡、短髪、鋭い目つき、サンダル。
サンダルっ?
待て待て、焦るな。
個性を大切にとかこの会社のスローガンにあったな。
それ狙いなのか。
一応ネットで転職情報を調べてもそれらしい書き込みはない。
としたら、あいつは勇者か。
やべっ、中身に相当自信持った奴とみた。
改めて俺の自己PR欄を見る。
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拝啓
●●会社様
この度は書類選考から面接まで進めて頂きありがとうございます。
趣味欄のところにも記載しましたが、私は美味しいモノが大好きで、"隠し味はこれだっ"というグルメブログも書いています。
(良かったら読者登録してね。しないと泣いちゃうぞ)
貴社の目の前にある北陸酒場ノドグロ牧場には是非ランチタイムで訪問したいと考えております。
隠し味は多分八丁味噌だと思うのですが、それを暴くのが楽しみでなりません。
あの店構え的に従業員は4名程で、その内バイトは2名で回してそうです。
偉そうな店主がゴミ出ししている姿を見たのですが、あれは自分にも他人にも厳しいタイプですね。
私としては、お客として通いたいのですが、時間があれば皿洗いくらいは手伝おうと決意しました。
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やはり完璧だ。
突っ込みどころは多少作った。
そのおかげで面接時のシュミレーションがしやすい。
ノドグロ牧場のくだりから一気に沿革に載っていたアプリ開発のアウトソーシング化について言及したい。
コア部分のアプリ開発を外に出す精神を問い詰めたい。
いや、むしろ罵倒したい。
相当厳しい戦いになるのは目に見えているが、そこを乗り越えた時に私の入社価値が出てくる。
待ってろよ、専務。
お前の個人情報も私立探偵を活用して丸裸なんだよ。
いざとなれば、証拠写真と共に家庭崩壊とその後の人生について熱く語りたい。
専属のビジネスパートナーとして入社してもいい。
もう既に勝ち戦なのかも知れない。
念には念を入れて、同じ待合室にいる仮想ライバルに話しかけてみた。

おのぉ、間違ってたらごめんなさい。
もしかして、もしかしてですよ。
中途採用の面接に来た方ですか?

はい、そうです。
失礼ですがあなたは。

私、この会社の人事を担当しています(大嘘)。

あ、あの、この度は面接の機会を頂きありがとうございます。
ここで面接するのでしょうか。

あなたは面接する場が大切なのですか。
ここでやったらマズイのでしょうか。
贅沢言える立場じゃないですよ。
いいですか、あなたは常に見られているんです。
それこそ電車に乗ったあたりから。
何なんですか、そのサンダルは。
弊社を馬鹿にするのもいい加減にしなさい。

大変申し訳ありません。
個性を出そうとしたのが裏目に出ました。

減点45点ですね。
50点満点中の。

えっ、じゃあもう私の入社は。

無理ですね。
これ以上恥をかきたくなければ立ち去りなさい。
待って下さい、じゃない。
なーに、悪いようにはしない。
明日あたりにお祈りメールをキチンと出します。

大変失礼致しました。
諦めて帰ろうと思います。
ちなみにあなたは今日、中途採用の面接される方ですよね。
実は私、この会社の営業担当をしています。
人事じゃないのにわざわざ面接に立ち会って欲しいと言われまして。
では、そういうことで。

あっ、待って。
待って下さい。
これも、これも個性なんです。
ノドグロ牧場のくだりを聞いてもらえませんか。
あなたも考え直すはずです。
ちょっ、待って下さいよ。