はい、そうです。
前も言いましたが。
そっちの臭いのキツイ有機物とは違います。
外見が似てるのでよく間違われます。
私、味噌です。
イチゴさん達がいなくなってもうすぐ1週間。
あれから色んな方が挨拶に来られては消えていく。
私も何となくですが気付いてきました。
あの人達はもう戻って来ないと。
私達はどこから生まれてどこに行くのでしょうか。
長老である梅干しさんに教えてもらいました。
何と、あの憎っくき人間から生まれたそうです。
それを聞いた時には心臓が飛び出るかと思いました。
あの人間ですよ?
私達を勝手に作って、賞味期限が切れたとか難しい言葉を並べてですね。
バサバサバサっとどこかへ投げ捨てる。
捨てないで。
最近外からよく聞こえるので耳を塞ぎたくなります。
次は自分の番かも知れない。
そう思うと家族との一瞬一瞬が幸せでなりません。
何故人間は捨てるのでしょうか。
私たちのことをそれほど知っているわけでもないのに。
知って下さい、冷蔵庫の中のこと。
冷蔵庫で生きている私たちのこと。
ある日のことです。
味噌さん、ちょっといいですか?
顔色の悪いぶどうさん一家が訪ねてきました。
次は私の番かも知れないとビクビクしているようです。
励ましの言葉をかけてもあまり反応がありません。
どうやら昨日、外から人間の声が聞こえたらしいです。
明日のデザートはぶどうだよ。
思えばぶどうさん一家とは短い付き合いでした。
それほど仲が良かったわけでもありません。
それでも会えば挨拶するし、香ばしいいい香りね、何て言葉をかけられたこともありました。
茶色くなってしまった叔父さんの看病にも出席しました。
私は元々茶色なので、叔父さんも私とと仲間ですね、と言った時は何故か冷たい目をされましたが。
付かず離れずの関係だと思いますが、それなりに近所付き合いを楽しんでき
ガチャッ
ガサッ
ジャバババババババー
キュッ
青々としてて美味しそう、いただきまーす
聞こえない、聞こえない、聞こえない。