ここだけの秘密ですが。
巷で噂のヒーローって俺のことなんですよ。
困ってる人を見つけてサクッと助けちゃおうかと思ってですね。
今日は青森の八戸に行ったんですよね。
埼玉からえっちらおっちら歩いてですよ。
信じられますか?
帰りは新幹線でブブーンと来ましたよ。
えっ?
よくぞ聞いてくれました。
八戸には親戚がいるんですよ。
ただね、埼玉にいるのが長くて青森弁が聞き取れなくなってたんですよ。
あれには参ったね。
なんか仲間外れにされた気分で。
いや、違いますよ。
埼玉生まれ、埼玉育ちです。
ただ、昔は八戸に何度も遊びに行ってたこともあって自然と青森弁も言えたんですよ。
大人になるって良いこともあれば悪いこともあるなと。
都合の悪いことは覚えてるのに、素敵な思い出にしたい記憶が霞んでいくんですよ。
素敵な思い出。。
まだ俺が10歳の頃ですかね。
親戚のあーちゃんが同い年でよく遊んでました。
田んぼに行ってアメンボを観察したり、泥かけっこをしたり、トンボを捕まえたり楽しかったですね。
あれは村の夏祭りが行われてた時です。
太鼓の心地良い音が村中に響いており、この時ばかりは子供たちも夜遅くまで祭りを楽しんでました。
色んな地域の人が集まっているので、そりゃあ賑やかでしたよ。
俺も親から毎月もらっていたいくばくかのお小遣いをこの日のために貯めてました。
満を持してクマさんの貯金箱をハンマーで壊しまして。
飛び出て来た100円玉を年の離れた弟と分け合ってですね。
目を輝かせて祭りに向かったんです。
りんご飴、バナナチョコ、水飴、かき氷など色んな食べ物に目移りしてなかなか買うものが決めれませんでした。
そんななか一際目立つ黄色の暖簾を掲げたお店がありまして。
キレイなビー玉を売っているお店でした。
遠くから見てもキラキラ様々な色を放っており、夜だというのに眩しいくらいでした。
お腹がすいていましたが、ビー玉欲求が強くなってですね。
有り金をはたいて買ったんですよ。
これまたキレイな巾着袋にビー玉を詰めてもらって、意気揚々と振り返ったんですよ。
そうすると、たまたま祭りに来ていたあーちゃんとその友達のみーちゃんがいてですね。
物欲しそうな目でこちらを見るんですよ。
実はみーちゃんことが前から気になっていてですね。
俺も異性を気にする年頃だったんでカッコつけたかったんでしょうね。
やるよっ、という言葉をみーちゃんに投げかけて巾着袋を握らせたんですよ。
今でもあの手の感触を覚えています。
ドキドキしながら家に帰ってですね。
さもお腹がふくれたフリをして、その日の夜は何も食べずに寝たんです。
人間って不思議ですよね。
その日の夜に妙な夢を見たんですよ。
神様が出てきて俺に言うんですよ。
将来困ったことがあったら区役所の職員に助けてもらいなさいって。
というわけで、今日ここにきたんですがやっぱり何とかなりませんかね。
生活保護費の再認定の動きやめませんか?