ここだけの秘密ですが。
巷で噂のヒーローって俺のことなんですよ。
困ってる人を見つけてサクッと助けちゃおうかと思ってですね。
最近ようやく梅雨も明けて、暑い日が続きますよね。
本当は外に出て子供や可愛い女性を助けたいんですよ。
10分も歩いたら汗だくでぐったりしちゃうのでクーラーが手放せません。
えっ?
おっさんやおばさんは助けないのかって?
そりゃ、俺だってヒーローである前に人間なんで色々考えるところはありまして。
打算的な部分も見え隠れしちゃうんですが、しょうがないですよね。
世の中にはね、子供と可愛い女性すら助けない人も多くいるわけですよ。
いわゆる役割分担の話をしているんです。
わかりやすく言うと、世界には様々なヒーローがいるんですよ。
俺は日本担当なんですよ。
もっと言うと埼玉辺りの子供と可愛い女性限定です。
残りの部分は他の方にやってもらってですね。
お互いに補完しあっているんです。
そう考えると一部とはいえ助けるために日々活動している俺って結構崇拝される対象ですよね。
その辺りをもう少し突っついてくれないと拗ねちゃいますよ。
俺だってヒーローである前に承認欲求を持った大人の男性なんだし。
聞いてますか?
さっきからスマホいじってばかりで俺の目を見ようとしてないし。
今日何のためにここにきたのか知ってますか?
そうですよ。
直談判するために通うようになってもうかれこれ30日目ですからね。
何度も言ってきたのですが、そもそも俺はヒーローなのに何故生活保護費を受けなければいけないくらい困窮しているのか疑問に思っているんです。
ヒーローも給料制にしたいなと思ってですね。
なんとか役所つながりで適任者を紹介して欲しいんです。
出来れば決裁権限のある偉い人が希望です。
何で毎回ダメなんですか?
紹介するくらいタダで減るもんじゃないでしょ。
30日間の情熱でそろそろ折れてくれてもいいんじゃないですかね。
いい加減にしないと俺だってやる時は。。
ちょっ、落ち着いて落ち着いて。
110番とか物騒なこと言わないの。
分かりましたよ。
その人の家を教えてもらえるだけで結構です。
直接交渉したいので。
えっ?
いいんですか?
はい、はい、はい。
さいたま市浦和区高砂3-15-1ですね。
本当にありがとうございました。
このご恩は一生忘れません。